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路線価の調整率が発表されたが・・・

一週間ほど前に国税庁が本年度の路線価の調整率を発表しました。
発表の翌日のテレビでの報道を見ていてちょっと疑問を感じていたので、
今回はその話題を少し。

テレビ放送の場合、同じソースでもワイドショーとニュースでは視聴者への
話題の届け方が違っていなければいけないと思っているのですが、
今回はニュースでも同じように報道されていて疑問に思いました。


路線価の調整率の発表を受けて、首都圏では目立って
調整率の高かった千葉県浦安市について、ワイドショーと同じく
ニュースでも、リポーターが住民に対して、

「調整率が0.6なので、4割ほど価値が下がってしまいましたが、
いかがお考えですか。」

といった感じで質問し、

「こんなつもりではなかった。人生設計を見直さないと…」

と答える住民の方。


本当に4割も不動産の価値が下がってしまったのでしょうか。

ここで、もう一度ニュースを見直してみましょう。


被災地の路線価、最大8割下落 震災が影響 国税庁が「調整率」公表

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる路線価に、東日本大震災の影響を反映させるために算定した「調整率」を発表した。宮城県女川町の一部は地価が8割下落したとする「0.2倍」とされ、対象の被災10県で最大の引き下げ幅。福島第1原発事故の警戒区域などは「評価が困難」として0倍とし、土地にかかる相続税などを免除する。
震災の影響を加味した地価の公的な評価は、9月に国土交通省が公表した基準地価(7月1日時点)に続き2例目。調整率は、地震後に最も下落した時点の地価が、7月発表の路線価(1月1日時点)の何割に当たるかを示したもので、復旧・復興の進捗状況は反映していない。
 対象の6万5千平方キロメートルのうち、一部で下落幅が大きかった主な市町村は▽0.2倍=女川町▽0.25倍=宮城県南三陸町など▽0.3倍=岩手県陸前高田市、仙台市、宮城県石巻市、福島県いわき市など。千葉県浦安市の一部は「液状化のイメージダウンが大きい」として0.6倍とした。
 原発事故に伴い政府が指定した警戒区域、計画的避難区域、旧緊急時避難準備区域では、「土地売買の実例がなく理論的な評価も難しい」(同庁)ことから、調整率を0倍に設定。土地にかかる相続税と贈与税を免除する。
 調整率の対象地域は青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉各県の全域と、新潟、長野、埼玉各県の一部。
[2011/11/1 日本経済新聞 電子版




この記事をよく読んでいただくとわかりますが、あくまで

「相続税と贈与税」の算定となる路線価の調整率

を発表したに過ぎません。


つまり、発表された調整率は、相続や贈与が発生したときのみ
利用されるもので、一般取引には反映されないのです。

目的は、相続税や贈与税の税金の計算に用い、税金を緩和することだからです。


もちろん、震災の影響で液状化が起こるなど、それまでよりは
取引価格は下がってしまうでしょう。
しかし、4割も価値が下がることはありません。


ここで最も不動産の価値をもっと貶めているのは、本来の目的を曲げて
あたかも価値が下がったかのように報道してしまうこと
です。

いわば、風評被害を作り出しているのはマスメディアである典型です。


報道を見た人は、これまでよりも4割ぐらい安くても当然と
短絡的に考えてしまう人もいるからです。

今回の報道であれば、最後まできちんと正しく報道する義務があるはずです。

「相続や贈与では、この調整率が反映されるが、一般の取引に
直接反映されるものではないので、間違わないでください」と。

でも、最近のテレビではそんなことはしません。
不幸を演出して、視聴者の関心を引き付けるためだからです。


また、一部の報道では

「銀行の評価が落ちるから、融資が組みにくくなり、その分取引価格が落ちる」

と言っている専門家がいました。

きっと本当に言いたいことのうち、大事なところを編集されて、
隠れてしまったのだろうと思いますが、一部正しくて、一部間違いです。


銀行も専門家ですから、今回発表の調整率の意味はわかっています。

従って、今回の調整率の発表があったから銀行の評価が落ちて、
融資が組みにくくなるというのは間違いです

あくまで、実際に液状化などの土地の実態がわかったことをもとに
銀行内の地域ごとの評価基準を見直して融資が出にくくなっただけで
今回の調整率とは直接関係はありません。


とにかく、今回の浦安などの一部地域に対する偏った報道には
疑問を抱きました。


それならば、横浜市のある地域でも液状化は起きましたが、今回、
調整率は設定されず、そのため報道もなく、今も普通に取引されています。
(もちろん、多少取引価格は下がっています。)

不動産に関する報道には、その度に多少疑問に感じることがあるのですが、
今回の報道には“悪意”すら感じられたので、ちょっと書いてみました。


最後に、路線価の基本的な知識を一つ。

路線価には相続税路線価固定資産税路線価2種類があります。

相続税においては地価公示価格の8割程度を、
固定資産税においては同じく7割程度
それぞれ目途に評価されていると言われています。


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私の思い

このブログを開設した思いを少し。

これまで数多くの不動産に関する相談を受けてきました。
その中で相談を承った方から


「不動産について誰に相談したらよいかわからない」


ということをよく言われました。


不動産の取引は意外と専門的でわからないことがたくさんあります。
しかし、まだ購入するかわからない段階で不動産会社に入ることは
なかなかできません。


「何か買わされるのでは。」
「しつこく営業されるのではないか。」
「そもそも不動産屋に入ること自体が気が引ける」



など理由はいろいろあるようですが、とにかく精神的に不動産会社には
相談しにくい。

とはいえ、そうそう不動産会社の知人がいるわけでもありません。
そうすると不動産のことを誰に相談したらいいかわからないとなるのです。



不動産、特に自宅を買うなんてことは人生でそう何回もありません。
非常に大きな金額が動く買い物ですから。

そんな大きな買い物をするときに相談に乗ってくれる人がいない
というのは心細いものです。


そこで、


「少しは役に立つ情報を提供できないか」


と考えてこのブログを開設しました。


不動産の取引は個別に事情が異なり、全く同じものはありません。
が、共通する注意点や知っておいて損はないこともたくさんあります。


そうしたことを少しずつUPしていきたいと考えています。
このブログが少しでも読んでくれた方の役に立てばうれしい限りです。



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プロフィール

akitsu

Author:akitsu
不動産コンサルタントの秋津智幸です。
これまで新築マンションや一戸建て、中古物件の仲介、賃貸住宅の募集・管理、不動産投資のコンサルなど様々な不動産実務を経験してきました。
ファイナンシャルプランナーの資格も保有し、不動産ばかりでなくお金のこともご相談にのってきました。

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著書
主なテーマはお金ですが、住宅購入のためのヒントにたくさんのページを割いています。よろしければ是非ご一読ください。
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